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注 赤ずきんパロ いたしている ギャグ
「気を付けて行ってきてくださいよ」
言いながら小さな頭にやたら丁寧に頭巾をかぶせるのは善助だ。その顔は本当に心配そうで、ちょっとそこまで歩いていくだけなのに何がそんなに心配なのかと長政は首を傾げた。
善助の向こうには、たたき起こされて朝食を食べている太兵衛があくびをしている。
「気を付けるって、父上のところに見舞いに行くだけだろ」
「若は知らないのですか?最近このあたりで狼が出るという噂があるのを」
(狼…)
「もしもであったら食べられてしまいますからね」
十分気を付けてくださいよ、という善助の言葉はしかし長政の耳を素通りして、残ったのは狼、という部分だけだった。
(もしかして…)
「気を付けてくださいね」
しつこく念を押されて、外に出る。綺麗に晴れて、風もやさしい。
(なにもなさそうじゃないか)
木々が影を作る小道を、長政は歩き出す。遠吠えが響いた気がしたけれど、きっと気のせいだと思った。
しばらく歩くと、かわいらしい花の咲く花畑が見えてきた。先日見た時には草ばかりだったのが、美しいじゅうたんを敷いたように色づいている。
しかし、長政の目は花よりもその向こうの木陰に釘づけになった。
木の根元で居眠りをしている灰色の塊が、ひとつ。
(あれは、もしかして)
見たことのある耳と尻尾、その色もまた、記憶通りだ。
「また、べぇ?」
おもわずこぼれた名前はとても小さな声だったのに、その灰色の耳がピクリと動く。そして閉じられていた瞼が、すうっと開いた。
目と目が合う。きっとそうだ、あれは。
「又兵衛っ!」
気が付いたら駆け出していた。駆け寄って、逃げ出さないようにしがみつく。
「…若」
頭の上から降ってくる声は随分変わっていたけれど、自分のことを覚えていたのが嬉しい。顔を上げれば、かつての面影を残しつつも、すっかり成長した顔があった。
それは昔、まだ長政が随分幼いころの話だ。ある日、父の官兵衛が傷ついた子犬を見つけたと連れてきた。しばらく面倒を見るうちにそれが犬ではなく狼だと分かったのだが、随分賢い狼だったので、長政と一緒に黒田家の息子同然に育てられた。
長政は又兵衛が大好きだった。だから、突然その姿を消してしまった時は、わんわん泣いて、森中を探してまわった。
先ほど善助が〝狼〟と言った時、又兵衛ではないかと期待したのだ。素直に言えば、今日森で、狼に遭遇することを。
「お前!俺がどんな気持ちで!」
又兵衛にしがみついたまま、長政が喚く。しかし又兵衛は、感動の再開に不似合いな溜息で応じた。
「若、私は狼ですよ」
「何言ってるんだ!又兵衛は又兵衛だろ…」
ふと顔を合わせると、離れようとしない長政を見る又兵衛の眼差しが冷たい。喜んでいるのは自分だけだと思い知らされたような気がして、でもそう簡単にはあきらめられなくて。
「もう一度、うちで」
「無理です」
考えるまでもないというように長政の言葉を遮る又兵衛の語気は強い。
「若だって噂くらいは聞いているでしょう」
唇の間から覗く牙は、最後に見た時よりずいぶん立派だ。
「この森には狼が出るから、危ないって」
眼差しも、ギラギラと光っていて、思わず身がすくむ。
「俺のことですよ」
でも、ここで逃げたりしたくない。ずっと探していたのだから。
「いいよ」
死にたくはないけれど。
「食べてもいいよ」
ずい、と顔を近づけて、しっかりと目を見て返事をする。もちろんタダで食べられてやるつもりはないが、とりあえず又兵衛の口が開くのを待ってみる。
しかし再びため息が漏れただけで、牙さえ見せずに又兵衛がやれやれという顔をした。
「…バカなこと言ってないで」
言いながら、長政のおでこを指で押して、体を遠ざける。きょとんとした長政をそのままに、すい、と立ち上がると背を向けて歩き出す。
「おいっこらまて!」
「…どうせ殿のところに行くんでしょう」
さっさと行けというように、背中の向こうからこちらをちらりと一瞥する。何とかして引き止めなければ、もう二度と会えないかもしれない。
何かしなければ、と、思わず籠の中のリンゴを、遠くなる頭に思い切り投げつけた。
「ッ!いって」
いきなりの衝撃に思わずしゃがみこむ又兵衛に駆け寄る。思い切り投げつけたせいで草むらに落ちたリンゴは、びが入って駄目になった。
「すまん、手が滑った。こぶができているぞ!手当てしてやる、ついて来い」
分でも無理やりだと思うが、どうしても離したくなくて、無理やり腕を引っ張って歩かせる。又兵衛も観念したのか腕を引かれるままおとなしくついていった。
森のむこうに、官兵衛の家が見えてくる。もう少し、というところで又兵衛の足が止まった。鼻をひくひくさせながら、眉間のしわを深くする。
「何だ、ここまで来たら意地でも連れていくぞ」
「今更逃げねぇよ」
じゃあ何だ、と長政が尋ねるより先に、又兵衛が、ちょっと待ってろ、と家に向かって歩き出した。長政の拘束をするりを抜けて、てくてくと歩いていく。
(逃げては、ないか)
追いかけようかと足を踏み出しかけたその時、又兵衛は窓を覗くと、肩を落として長政のところにちゃんと戻ってくる。
長政の顔を見て、首を横に振った。
「悪いことは言わない、帰りましょう」
「はぁ?」
一体何を見たのかは教えないまま、長政に帰宅を促す。
「なんでだよ。お前の手当てもしなきゃいけないのに」
本来の目的は父の見舞いのはずなのに、もう、長政の頭はどうにか又兵衛を引き留めることでいっぱいだった。
父に合わせてしまえば丸め込めるだろうとせっかくここまで連れてきたのだ。逃げられてはたまらないと、もう一度又兵衛の腕を引いて進んでいく。
「後悔してもしりませんよ」
又兵衛のつぶやきは、長政には届かないようだ。
しかし一応忠告は聞いて、先ほど又兵衛がしたように、窓から部屋を覗くと、自分の父親が誰かに乗っかられて、苦しそうな顔をしている。
「又兵衛!父上を助けなければ!」
何が起きているのかは正直よくわからないが、放っておいて良いとは思えなかった。なぜ又兵衛は帰った方がいいだなんていうのか。
しかしドアに向かおうとする長政の腕をつかみ、又兵衛はまた首を横に振る。
「おい又兵衛父上が苦しそうではないか!?何故邪魔する!?」
「…」
「父上を助けねば!…又兵衛…?何を!」
長政の腕をつかんだまま、又兵衛は家から離れて森の中へ長政を連れていく。自分よりも随分強い力で腕を引かれて、抵抗ができない。
「ここで邪魔するのは野暮ってやつですよ、 若」
そう言いながら、長政を太い木の幹まで追い詰める。その瞳は見たことがないほどに獣のそれだった。
「何を言って!このままでは父上が…!やッ!」
又兵衛の指がするりと服の中に侵入して、何も知らない長政の柔肌に触れた。
「殿は苦しんでいるわけではありません」
「…何をする、またべ」
「今から教えてあげますよ」
視界いっぱいに、又兵衛の顔が迫る。昔とは違う、男の顔に、背筋がゾクゾクと痺れた。
「手取り、足取り、教えてあげます」
そう言って口を開けた又兵衛に、痛みを覚悟した。しかし、予想した痛みは来なくて、暖かく柔らかい又兵衛の唇に、自分の唇が塞がれていると気が付くが遅くなる。
喘ぐように口を開ければ、ぬるりと長い舌が侵入してくる。抵抗の仕方も知らない長政の口内は散々に蹂躙されて、口の端から唾液が流れるのを拭う余裕もない。
体から力が抜けて、思わず木にもたれたまましゃがみこむ。
「ッはぁ、ま、たべ?」
自分が何をされているのか、なんとなくわかり始めたような、分かりたくないような。
又兵衛がしゃがんで長政に視線を合わせる。
「せっかくの我慢が」
言いながら、マントのリボンをそっと引いて解く。喘ぐ長政はされるがまま、又兵衛の指の動きを眺めていた。
「水の泡です」
シャツのボタンが外されていく。外気に触れてすこし冷えた肌に触れる又兵衛の手のひらは、熱い。
又兵衛の両手が脇腹をくすぐるように這うから長政の身体が勝手にビクリと震えた。
また、又兵衛の顔が近づいてくる。今度は何をされるかわかって、口を開けて待つと、クソ、と又兵衛が吐き捨てた後に、先ほどより激しく口付けを交わした。
その間にも又兵衛は長政の身体をまさぐる。左手で背中を支えながらも背骨をなぞり、右手はじらすように不規則な動きをする。
ついにその爪が胸の突起に触れて、長政はひくりと腰をくねらせた。
「ひゃ、またべ」
なんかおかしい、吐息に混ぜてそんな風に囁く長政の無知は、又兵衛にとってはもう興奮材料にしかならない。
「おかしいって、何がですか?」
言いながら、右手は先ほどからずっと赤い突起をいじめている。
「どんな風におかしいのか、教えてください」
つままれたり、押しつぶされたりするうちに、最初は違和感しかなかったはずなのに、長政の腰は甘く痺れはじめる。
「やぁ、わかんな、……ひゃん!」
この感覚を表現する言葉を知らないから、なんといっていいのかわからないのに、懸命に喋っているときに思い切りぎゅむとつままれて、あられもない声が出てしまう。
「じゃぁ、これはどうですか?」
そう言ったかと思うと、また又兵衛が大きく口を開ける。噛みつかれるかとおもってギュッと目をつむれば、またしても予想した衝撃は来ない。その代わりに。
「ッ!?ひゃぁぁぁぁぁんッ」
今まで散々いじめられていた突起が、生暖かく湿ったものに包まれる。舌先で先端をつつかれれば、体中が痺れるような感覚が長政を襲う。
舌で転がしたり、吸い付かれたりしすぎて、ジンジンして感覚がなくなってしまいそうだ。ようやく唇が離れたと思ったら、今度は今までほっておかれた反対側に勢いよく噛みつかれる。湿って敏感になった右側はまた指でいじめられて、ゾクゾクが止まない。
「んん、だめだめ、またべっっ!………やぁん!ッなんかッなんか」
緩急をつけた又兵衛の舌の動きひとつに、全身がもてあそばれている。
「何ですか」
波のように寄せては返す快感が、出口を求めてうごめきはじめる。
「何かきちゃうよぉっ…」
泣き疲れたような声で吐息のように囁く長政の声が又兵衛の耳に溶けるように広がる。おもわず歯を食いしばってしまい、長政の胸に噛みついてしまう。
「ヒッ!!!!!!!!」
一段と強く身体を波打たせて、長政が息を飲むような悲鳴を上げる。ようやく、又兵衛が胸から口を離した。
誰もいない森の影に響く、二人の荒い息遣いは獣の様だった。
又兵衛がもう一度長政の身体に沈み込む。両手で腰をつかんで、長政の着ているものをずるりとおろした。
「やっなに、またべぇ…あっ」
又兵衛の目の前に、すっかり立ち上がったそれが現れる。又兵衛は何のためらいもなくそれを口に含んだ。
「だめぇぇぇ」
か弱い悲鳴など制止になるはずがない。又兵衛はちゅぷちゅぷと音をたてながらしゃぶりついた。
「またべ、だめ、なんかでるっ」
だから離してとその頭をつかむけれど、自分でおしつけるようにしかならないのが恥ずかしくて、目を閉じて首を横に振るしか、できない。
「離しっ…!!??アァァァッ」
びくん、と長政の肢体がふるえる。結局又兵衛は口を離してはくれなかった。
絶頂を迎えた体からは力が抜けきって、はぁはぁと荒く呼吸する以外にできなくて、長政はただ又兵衛の様子をうかがっていた。
「わかりましたか?」
なにが?とおもった。なんでこんなことになったのか、よく思い出せない。
「これに懲りたら、もう俺には近づかないでください」
そう言いながら、脱がせた服を着せようとする。その又兵衛の表情は苦しそうで、指先は何かをこらえるように震えていて、流石の長政も、異変に気が付いた。
「又兵衛…」
服を着せようと動く、自分よりわずかに大きな手にそっと自分の手を添える。きっとこの後、又兵衛はまた長政の元を去るつもりなのだろう。それは嫌だと、思う。
「いやじゃなかったから」
また離れるくらいなら、もっとひどいことをされた方がましだと思った。
「お前のしたいようにしろ」
又兵衛が目を見開く。そのあとぎゅっと目を細めたと思ったら、両腕で思い切り長政を抱きしめた。
「後悔しても、知りませんよ」
絶対にしない、という思いを込めて、その背中に腕を回せば、骨が軋むほど抱きしめられた。裸の胸から伝わる体温が嬉しかった。
「これから自分が何をされるか、わかってますか」
そう言いながら、また又兵衛の頭が長政の奥の方へと沈んでいく。
「なにされても、いい」
「じゃぁ」
長政の足の間から、又兵衛がにやりと笑って見せた。
「だめっていったら、駄目ですよ」
そう言って、その舌を、長政の後ろの穴にねじ込んだ。
「ひゃっ!」
自分の足と足の間で、又兵衛があらぬところを舐めている。先ほど絶頂を迎えたその体に再び快感の火が付くのは、すぐだった。
「どうですか、若」
長政は、先ほど胸を攻められたときと同じように、分からない、分からないと首を振る。ぴちゃぴちゃと湿った音が響いて、見えない舌の動きが耳にも絡みついた。
「こういう時はね、若」
口を離した又兵衛が、中指で入り口をつつきながら長政の耳元に口を寄せた。
「きもちいいって、言うんですよ」
ごつごつとした指が、侵入してくる。圧迫感はひどいのに、又兵衛の唾液のせいか抵抗なくにゅるにゅると入ってくる遺物に、長政は歯を食いしばった。
「今なら、やめられますよ」
長政の肩口に額をうずめながら苦しそうにそんなことをいう、又兵衛に長政は、ばか、と唸る。
「男に二言はっ…ないッ…ん!」
又兵衛の指がぐにぐにと長政のなかをかき回す。次第にある一点に熱が集まるような、じわじわとなにかが上ってくるような感覚が長政を襲う。
「もうやめてあげられませんからね」
覚悟してくださいよ、そう言いながら指を二本に増やし、少し緩んだそこを激しくかき回す。たまに触れる場所から一際強い快感を得るような気がするのに、つかみきれない。
ずるり、と又兵衛の指が抜ける。体を内側から引っ張られるような感覚のあと、不思議な物足りなさが下半身を包んだ。
収縮しようとするそこに、ぴたりと何かが添えられる。流石にそれが何かは、なんとなくわかる。
又兵衛の腰が、長政の中に沈んでいく。先ほどは全くくらべものにならない圧迫感が長政を襲って、息の仕方も忘れてしまう。
「…ッア!!…ふっ…うぅぅ」
体の機能的な限界を感じて、痛みが伴ってくる。なのに嫌だとは思わなかった。
「また、またべぇ」
腕を伸ばせば、抱きしめ返してくれる。重なる胸が汗でじっとりと張り付くのさえ心地よい。
又兵衛のそれが長政の中におさまって、しばらくふたりでじっとしていた。しかし少し又兵衛が腰をゆらしたその瞬間、長政の身体に電流が走る。
「ッくぅ…ンッ!?」
「若?」
「だめ、またべえそこだめぇっ」
先ほど指でほぐされたときに違和感のあった一点をえぐられたのだ。突然湧き上がった快感に、長政は又兵衛の背中に爪を立ててしまう。
「…だめってことは、イイんですよね」
ゆるゆると又兵衛が腰をゆらし始める。その動きは次第に激しくなり、長政の中を容赦なくえぐる。
「あ、あぁ、ア…」
頭の中でぱちぱちと何かが弾ける。快感は行きすぎているのにこのままじゃ終われないことも、理解していた。
「またべ、またべ」
「ッふ、何ですか」
「さわっ…さわってッ」
口に出した瞬間、ただでさえ熱い体にさらに火が付いたような気がした。しかしすぐに自身に又兵衛の手が添えられて、もう何も考えられなくなる。
「あっ!あっ!あ!」
もう終わりはすぐそこまで来ている。又兵衛の息遣いも、腰使いも、目的地をはっきり見つけていた。
「またべえ、またべえ」
強すぎる快感がこわくて名前を呼べば抱きしめてくれる。嬉しくて腕も足も絡みつけて、しがみついた。
「ふっあっ…あ!」
「ッくう」
頭が真っ白になる。一瞬腰に思い切り力が入って、又兵衛の形を思い切り感じながら長政は果てた。
それに続くように又兵衛も吐き出して、日の翳る森に吹く風が、二つの荒い呼吸をどこかへさらっていった。
「せっかく離れたのに」
長政の身体をできるだけ清めて、着衣を整えながら又兵衛が渋い顔でため息をついた。情交が終わってからずっと眉間にしわを寄せている。
「こうならないために家を出たのに」
あなたのせいで俺の苦悩が水の泡です。そう言いながらマントのリボンをきゅきゅと結んで、土を払ってフードを被せた。
「じゃぁ」
腰の痛みで立ち上がれない長政は、又兵衛に背負われながら言う。
「またうちにかえってくるんだろ」
その声は楽しげで、勢いよくその腕を又兵衛の首に巻き付けた。
「もうどこも行くなよ」
肩に顎を乗せながら笑う長政に、又兵衛は心の中でそっと返事をした。
(もう、逃がしてあげられませんよ)
二人の背中を押すように、森の中を風がざわりと吹き抜けた。
「気を付けて行ってきてくださいよ」
言いながら小さな頭にやたら丁寧に頭巾をかぶせるのは善助だ。その顔は本当に心配そうで、ちょっとそこまで歩いていくだけなのに何がそんなに心配なのかと長政は首を傾げた。
善助の向こうには、たたき起こされて朝食を食べている太兵衛があくびをしている。
「気を付けるって、父上のところに見舞いに行くだけだろ」
「若は知らないのですか?最近このあたりで狼が出るという噂があるのを」
(狼…)
「もしもであったら食べられてしまいますからね」
十分気を付けてくださいよ、という善助の言葉はしかし長政の耳を素通りして、残ったのは狼、という部分だけだった。
(もしかして…)
「気を付けてくださいね」
しつこく念を押されて、外に出る。綺麗に晴れて、風もやさしい。
(なにもなさそうじゃないか)
木々が影を作る小道を、長政は歩き出す。遠吠えが響いた気がしたけれど、きっと気のせいだと思った。
しばらく歩くと、かわいらしい花の咲く花畑が見えてきた。先日見た時には草ばかりだったのが、美しいじゅうたんを敷いたように色づいている。
しかし、長政の目は花よりもその向こうの木陰に釘づけになった。
木の根元で居眠りをしている灰色の塊が、ひとつ。
(あれは、もしかして)
見たことのある耳と尻尾、その色もまた、記憶通りだ。
「また、べぇ?」
おもわずこぼれた名前はとても小さな声だったのに、その灰色の耳がピクリと動く。そして閉じられていた瞼が、すうっと開いた。
目と目が合う。きっとそうだ、あれは。
「又兵衛っ!」
気が付いたら駆け出していた。駆け寄って、逃げ出さないようにしがみつく。
「…若」
頭の上から降ってくる声は随分変わっていたけれど、自分のことを覚えていたのが嬉しい。顔を上げれば、かつての面影を残しつつも、すっかり成長した顔があった。
それは昔、まだ長政が随分幼いころの話だ。ある日、父の官兵衛が傷ついた子犬を見つけたと連れてきた。しばらく面倒を見るうちにそれが犬ではなく狼だと分かったのだが、随分賢い狼だったので、長政と一緒に黒田家の息子同然に育てられた。
長政は又兵衛が大好きだった。だから、突然その姿を消してしまった時は、わんわん泣いて、森中を探してまわった。
先ほど善助が〝狼〟と言った時、又兵衛ではないかと期待したのだ。素直に言えば、今日森で、狼に遭遇することを。
「お前!俺がどんな気持ちで!」
又兵衛にしがみついたまま、長政が喚く。しかし又兵衛は、感動の再開に不似合いな溜息で応じた。
「若、私は狼ですよ」
「何言ってるんだ!又兵衛は又兵衛だろ…」
ふと顔を合わせると、離れようとしない長政を見る又兵衛の眼差しが冷たい。喜んでいるのは自分だけだと思い知らされたような気がして、でもそう簡単にはあきらめられなくて。
「もう一度、うちで」
「無理です」
考えるまでもないというように長政の言葉を遮る又兵衛の語気は強い。
「若だって噂くらいは聞いているでしょう」
唇の間から覗く牙は、最後に見た時よりずいぶん立派だ。
「この森には狼が出るから、危ないって」
眼差しも、ギラギラと光っていて、思わず身がすくむ。
「俺のことですよ」
でも、ここで逃げたりしたくない。ずっと探していたのだから。
「いいよ」
死にたくはないけれど。
「食べてもいいよ」
ずい、と顔を近づけて、しっかりと目を見て返事をする。もちろんタダで食べられてやるつもりはないが、とりあえず又兵衛の口が開くのを待ってみる。
しかし再びため息が漏れただけで、牙さえ見せずに又兵衛がやれやれという顔をした。
「…バカなこと言ってないで」
言いながら、長政のおでこを指で押して、体を遠ざける。きょとんとした長政をそのままに、すい、と立ち上がると背を向けて歩き出す。
「おいっこらまて!」
「…どうせ殿のところに行くんでしょう」
さっさと行けというように、背中の向こうからこちらをちらりと一瞥する。何とかして引き止めなければ、もう二度と会えないかもしれない。
何かしなければ、と、思わず籠の中のリンゴを、遠くなる頭に思い切り投げつけた。
「ッ!いって」
いきなりの衝撃に思わずしゃがみこむ又兵衛に駆け寄る。思い切り投げつけたせいで草むらに落ちたリンゴは、びが入って駄目になった。
「すまん、手が滑った。こぶができているぞ!手当てしてやる、ついて来い」
分でも無理やりだと思うが、どうしても離したくなくて、無理やり腕を引っ張って歩かせる。又兵衛も観念したのか腕を引かれるままおとなしくついていった。
森のむこうに、官兵衛の家が見えてくる。もう少し、というところで又兵衛の足が止まった。鼻をひくひくさせながら、眉間のしわを深くする。
「何だ、ここまで来たら意地でも連れていくぞ」
「今更逃げねぇよ」
じゃあ何だ、と長政が尋ねるより先に、又兵衛が、ちょっと待ってろ、と家に向かって歩き出した。長政の拘束をするりを抜けて、てくてくと歩いていく。
(逃げては、ないか)
追いかけようかと足を踏み出しかけたその時、又兵衛は窓を覗くと、肩を落として長政のところにちゃんと戻ってくる。
長政の顔を見て、首を横に振った。
「悪いことは言わない、帰りましょう」
「はぁ?」
一体何を見たのかは教えないまま、長政に帰宅を促す。
「なんでだよ。お前の手当てもしなきゃいけないのに」
本来の目的は父の見舞いのはずなのに、もう、長政の頭はどうにか又兵衛を引き留めることでいっぱいだった。
父に合わせてしまえば丸め込めるだろうとせっかくここまで連れてきたのだ。逃げられてはたまらないと、もう一度又兵衛の腕を引いて進んでいく。
「後悔してもしりませんよ」
又兵衛のつぶやきは、長政には届かないようだ。
しかし一応忠告は聞いて、先ほど又兵衛がしたように、窓から部屋を覗くと、自分の父親が誰かに乗っかられて、苦しそうな顔をしている。
「又兵衛!父上を助けなければ!」
何が起きているのかは正直よくわからないが、放っておいて良いとは思えなかった。なぜ又兵衛は帰った方がいいだなんていうのか。
しかしドアに向かおうとする長政の腕をつかみ、又兵衛はまた首を横に振る。
「おい又兵衛父上が苦しそうではないか!?何故邪魔する!?」
「…」
「父上を助けねば!…又兵衛…?何を!」
長政の腕をつかんだまま、又兵衛は家から離れて森の中へ長政を連れていく。自分よりも随分強い力で腕を引かれて、抵抗ができない。
「ここで邪魔するのは野暮ってやつですよ、 若」
そう言いながら、長政を太い木の幹まで追い詰める。その瞳は見たことがないほどに獣のそれだった。
「何を言って!このままでは父上が…!やッ!」
又兵衛の指がするりと服の中に侵入して、何も知らない長政の柔肌に触れた。
「殿は苦しんでいるわけではありません」
「…何をする、またべ」
「今から教えてあげますよ」
視界いっぱいに、又兵衛の顔が迫る。昔とは違う、男の顔に、背筋がゾクゾクと痺れた。
「手取り、足取り、教えてあげます」
そう言って口を開けた又兵衛に、痛みを覚悟した。しかし、予想した痛みは来なくて、暖かく柔らかい又兵衛の唇に、自分の唇が塞がれていると気が付くが遅くなる。
喘ぐように口を開ければ、ぬるりと長い舌が侵入してくる。抵抗の仕方も知らない長政の口内は散々に蹂躙されて、口の端から唾液が流れるのを拭う余裕もない。
体から力が抜けて、思わず木にもたれたまましゃがみこむ。
「ッはぁ、ま、たべ?」
自分が何をされているのか、なんとなくわかり始めたような、分かりたくないような。
又兵衛がしゃがんで長政に視線を合わせる。
「せっかくの我慢が」
言いながら、マントのリボンをそっと引いて解く。喘ぐ長政はされるがまま、又兵衛の指の動きを眺めていた。
「水の泡です」
シャツのボタンが外されていく。外気に触れてすこし冷えた肌に触れる又兵衛の手のひらは、熱い。
又兵衛の両手が脇腹をくすぐるように這うから長政の身体が勝手にビクリと震えた。
また、又兵衛の顔が近づいてくる。今度は何をされるかわかって、口を開けて待つと、クソ、と又兵衛が吐き捨てた後に、先ほどより激しく口付けを交わした。
その間にも又兵衛は長政の身体をまさぐる。左手で背中を支えながらも背骨をなぞり、右手はじらすように不規則な動きをする。
ついにその爪が胸の突起に触れて、長政はひくりと腰をくねらせた。
「ひゃ、またべ」
なんかおかしい、吐息に混ぜてそんな風に囁く長政の無知は、又兵衛にとってはもう興奮材料にしかならない。
「おかしいって、何がですか?」
言いながら、右手は先ほどからずっと赤い突起をいじめている。
「どんな風におかしいのか、教えてください」
つままれたり、押しつぶされたりするうちに、最初は違和感しかなかったはずなのに、長政の腰は甘く痺れはじめる。
「やぁ、わかんな、……ひゃん!」
この感覚を表現する言葉を知らないから、なんといっていいのかわからないのに、懸命に喋っているときに思い切りぎゅむとつままれて、あられもない声が出てしまう。
「じゃぁ、これはどうですか?」
そう言ったかと思うと、また又兵衛が大きく口を開ける。噛みつかれるかとおもってギュッと目をつむれば、またしても予想した衝撃は来ない。その代わりに。
「ッ!?ひゃぁぁぁぁぁんッ」
今まで散々いじめられていた突起が、生暖かく湿ったものに包まれる。舌先で先端をつつかれれば、体中が痺れるような感覚が長政を襲う。
舌で転がしたり、吸い付かれたりしすぎて、ジンジンして感覚がなくなってしまいそうだ。ようやく唇が離れたと思ったら、今度は今までほっておかれた反対側に勢いよく噛みつかれる。湿って敏感になった右側はまた指でいじめられて、ゾクゾクが止まない。
「んん、だめだめ、またべっっ!………やぁん!ッなんかッなんか」
緩急をつけた又兵衛の舌の動きひとつに、全身がもてあそばれている。
「何ですか」
波のように寄せては返す快感が、出口を求めてうごめきはじめる。
「何かきちゃうよぉっ…」
泣き疲れたような声で吐息のように囁く長政の声が又兵衛の耳に溶けるように広がる。おもわず歯を食いしばってしまい、長政の胸に噛みついてしまう。
「ヒッ!!!!!!!!」
一段と強く身体を波打たせて、長政が息を飲むような悲鳴を上げる。ようやく、又兵衛が胸から口を離した。
誰もいない森の影に響く、二人の荒い息遣いは獣の様だった。
又兵衛がもう一度長政の身体に沈み込む。両手で腰をつかんで、長政の着ているものをずるりとおろした。
「やっなに、またべぇ…あっ」
又兵衛の目の前に、すっかり立ち上がったそれが現れる。又兵衛は何のためらいもなくそれを口に含んだ。
「だめぇぇぇ」
か弱い悲鳴など制止になるはずがない。又兵衛はちゅぷちゅぷと音をたてながらしゃぶりついた。
「またべ、だめ、なんかでるっ」
だから離してとその頭をつかむけれど、自分でおしつけるようにしかならないのが恥ずかしくて、目を閉じて首を横に振るしか、できない。
「離しっ…!!??アァァァッ」
びくん、と長政の肢体がふるえる。結局又兵衛は口を離してはくれなかった。
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「又兵衛…」
服を着せようと動く、自分よりわずかに大きな手にそっと自分の手を添える。きっとこの後、又兵衛はまた長政の元を去るつもりなのだろう。それは嫌だと、思う。
「いやじゃなかったから」
また離れるくらいなら、もっとひどいことをされた方がましだと思った。
「お前のしたいようにしろ」
又兵衛が目を見開く。そのあとぎゅっと目を細めたと思ったら、両腕で思い切り長政を抱きしめた。
「後悔しても、知りませんよ」
絶対にしない、という思いを込めて、その背中に腕を回せば、骨が軋むほど抱きしめられた。裸の胸から伝わる体温が嬉しかった。
「これから自分が何をされるか、わかってますか」
そう言いながら、また又兵衛の頭が長政の奥の方へと沈んでいく。
「なにされても、いい」
「じゃぁ」
長政の足の間から、又兵衛がにやりと笑って見せた。
「だめっていったら、駄目ですよ」
そう言って、その舌を、長政の後ろの穴にねじ込んだ。
「ひゃっ!」
自分の足と足の間で、又兵衛があらぬところを舐めている。先ほど絶頂を迎えたその体に再び快感の火が付くのは、すぐだった。
「どうですか、若」
長政は、先ほど胸を攻められたときと同じように、分からない、分からないと首を振る。ぴちゃぴちゃと湿った音が響いて、見えない舌の動きが耳にも絡みついた。
「こういう時はね、若」
口を離した又兵衛が、中指で入り口をつつきながら長政の耳元に口を寄せた。
「きもちいいって、言うんですよ」
ごつごつとした指が、侵入してくる。圧迫感はひどいのに、又兵衛の唾液のせいか抵抗なくにゅるにゅると入ってくる遺物に、長政は歯を食いしばった。
「今なら、やめられますよ」
長政の肩口に額をうずめながら苦しそうにそんなことをいう、又兵衛に長政は、ばか、と唸る。
「男に二言はっ…ないッ…ん!」
又兵衛の指がぐにぐにと長政のなかをかき回す。次第にある一点に熱が集まるような、じわじわとなにかが上ってくるような感覚が長政を襲う。
「もうやめてあげられませんからね」
覚悟してくださいよ、そう言いながら指を二本に増やし、少し緩んだそこを激しくかき回す。たまに触れる場所から一際強い快感を得るような気がするのに、つかみきれない。
ずるり、と又兵衛の指が抜ける。体を内側から引っ張られるような感覚のあと、不思議な物足りなさが下半身を包んだ。
収縮しようとするそこに、ぴたりと何かが添えられる。流石にそれが何かは、なんとなくわかる。
又兵衛の腰が、長政の中に沈んでいく。先ほどは全くくらべものにならない圧迫感が長政を襲って、息の仕方も忘れてしまう。
「…ッア!!…ふっ…うぅぅ」
体の機能的な限界を感じて、痛みが伴ってくる。なのに嫌だとは思わなかった。
「また、またべぇ」
腕を伸ばせば、抱きしめ返してくれる。重なる胸が汗でじっとりと張り付くのさえ心地よい。
又兵衛のそれが長政の中におさまって、しばらくふたりでじっとしていた。しかし少し又兵衛が腰をゆらしたその瞬間、長政の身体に電流が走る。
「ッくぅ…ンッ!?」
「若?」
「だめ、またべえそこだめぇっ」
先ほど指でほぐされたときに違和感のあった一点をえぐられたのだ。突然湧き上がった快感に、長政は又兵衛の背中に爪を立ててしまう。
「…だめってことは、イイんですよね」
ゆるゆると又兵衛が腰をゆらし始める。その動きは次第に激しくなり、長政の中を容赦なくえぐる。
「あ、あぁ、ア…」
頭の中でぱちぱちと何かが弾ける。快感は行きすぎているのにこのままじゃ終われないことも、理解していた。
「またべ、またべ」
「ッふ、何ですか」
「さわっ…さわってッ」
口に出した瞬間、ただでさえ熱い体にさらに火が付いたような気がした。しかしすぐに自身に又兵衛の手が添えられて、もう何も考えられなくなる。
「あっ!あっ!あ!」
もう終わりはすぐそこまで来ている。又兵衛の息遣いも、腰使いも、目的地をはっきり見つけていた。
「またべえ、またべえ」
強すぎる快感がこわくて名前を呼べば抱きしめてくれる。嬉しくて腕も足も絡みつけて、しがみついた。
「ふっあっ…あ!」
「ッくう」
頭が真っ白になる。一瞬腰に思い切り力が入って、又兵衛の形を思い切り感じながら長政は果てた。
それに続くように又兵衛も吐き出して、日の翳る森に吹く風が、二つの荒い呼吸をどこかへさらっていった。
「せっかく離れたのに」
長政の身体をできるだけ清めて、着衣を整えながら又兵衛が渋い顔でため息をついた。情交が終わってからずっと眉間にしわを寄せている。
「こうならないために家を出たのに」
あなたのせいで俺の苦悩が水の泡です。そう言いながらマントのリボンをきゅきゅと結んで、土を払ってフードを被せた。
「じゃぁ」
腰の痛みで立ち上がれない長政は、又兵衛に背負われながら言う。
「またうちにかえってくるんだろ」
その声は楽しげで、勢いよくその腕を又兵衛の首に巻き付けた。
「もうどこも行くなよ」
肩に顎を乗せながら笑う長政に、又兵衛は心の中でそっと返事をした。
(もう、逃がしてあげられませんよ)
二人の背中を押すように、森の中を風がざわりと吹き抜けた。
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