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氏綱実堯
『触りたい、触れない』
初めて見た背中は乱世にすくっと伸びて眩しく、思わず手を伸ばしそうになったことはきっと忘れない。共に戦えたならとさえ思った。「父上?」まだ遠いが僅かに近づいて今手を伸ばせば触れられるかもしれないけれど「あれが北条氏綱だよ、義堯」きっとそれは許されないから視線だけでも届けばよかった。
『ふたりぼっち』
「二人でいると」
人払いの済んだ小部屋で揺れるのは灯火のみ。
「一人よりも寂しくなるのは、きっと」
内通の話が漏れたと実堯は言った。
「君や義堯のこれからに」
それは別れを意味していた。
「在れないことが悔しいからだね」
「…ッ」
在れる道もと言いかけて黙る。近づく夜明けを憎んでも、星は巡った。
氏康義堯
『届かない距離にいて』
わからない。北条氏の進出を目の前で見てきたから知っている。彼がとても、強いことは。勢力だけ比べたら里見など小さい。なのに戦って生き残っている事実を自分の強さだと奢れるほど愚かではなかった。「舐めんなよ氏康」本気はまだ見えない。命の応酬をしようとするには、まだ届かない距離にいて。
『それ以上は許さない』
「もとより、貴殿の許しなど」
甘えた声と裏腹な視線の獰猛さは正に獅子、義堯の腹の底は嫌な震え方をした。
「乞うてはおらぬ」
骨が割れる程の拘束に抵抗は薬味、有るのと無いのでは味が違う。たとえ結果が同じでも。
そう、侵略者は許しなど乞わない。理不尽に蹂躙する。
忘れるな、お前は俺を侵すのだ。
又長
『守りたいものは』
守りたいものは隣にあったはずだった。最後に見たのは笑顔ではなかった。「後藤殿はいつも空を見上げておられる」真田に言われた時には否定したけれど確かに今俺は空を見ていた。目に移る青さくらいしか、俺とあいつを繋ぐものはもう、ない。"又兵衛"空から声が降ってきた気がして、俺は目を閉じた。
『たとえばの話』
「そんな話はしたくない」
長政の顔がくしゃと歪む。お前がいなくなるなんて。声のか弱さに喜ぶ自分が。
「たとえばですよ」
いつまでも側に居られる筈がない。
「それでも嫌だ」
依存は弱さになり瓦解の引金を引く。そういう時代だ。
「嫌だ」
許されずとも構わない。弟の様な主君の、その安寧だけを望んだ。
清行
『ゆびきりげんまん』
「思い出した」今とは違うかつての人生の約束を。守れなかった約束を。「遅いわ、あほ」今度は忘れんといてな、そう差し出された小指に自分の小指を絡めたら思っていたより暖かい。「あの時代にもこんな遊びがあったら」ゆびきりげんまん、彼の歌声は今世でも柔らかい。「俺に針千本飲ませたか、行長」
『サービストーク』
「煩い」
はて、どこで違えたかと小西は逡巡した。人と話すのは得意なはずだ。凡その齢と、目つきで警戒心、装飾品で価値観を探りつつ相手が気持ちよくなる話題を振って情報を抜く。
「話をするなら」
初見で看破とはこれはなかなか。
「お前の話にしろ」
「つれへんなぁ」
厄介なことに、なりそうだ。
村官
『ひとりじめ』
「随分重宝されているな」「おかげさまで」その顔から、かつての無垢さを奪ったのは。「まるでお前が天下取りをしてるみたいだ」彼は選ばれているふりをして、自分が選ぶ、見極めている。「あのまま、ひとりじめして下されば」誘惑するような声を教えたのは、「貴方が天下、「やめろ」俺なのだろうか。
『運命なんて、くそくらえ』
「これもさだめでしょうか」
官兵衛が言うと村重は思い切り顔をしかめた。虫を見つけたような忌々しげな表情だった。
「そんなもの」
諦めるということのできない男はその言葉をひどく嫌う。
「糞食ら、」
下品な言葉を咎めるようにその唇を塞いでしまう。
「食らうのはいつも私です」
眉間の皺が濃くなった。
石田福島
『運命という罠』
若い衆の笑い声が一際高く響いたとき、篝火の奥に幻を見た。
“市松、貴様本当に阿呆だな”
嘲るような言葉でも許せた。彼の、佐吉の表情がまだ優しかった頃。
「正則」
「…清正か」
刃を向け合う運命の上、あの日の笑顔は心を捕える罠の如く、重く。
「行くぞ」
「あぁ」
踏み出す足の怠さが酷かった。
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これが恋なら、上手に忘れられたのに
これが愛なら、きれいな思い出にすることだってできたのにGood night, loser. -nightmare-
「乱数は?」
幻太郎と帝統の会話はボクにとって、小鳥のさえずりのようなものだから、急に話を振られるといつも困ってしまった。でも幻太郎はそのことを良く分かっているから、すぐにボクにもわかるように聞き直してくれる。
「乱数は信じますか?運命の赤い糸」
うんめいのあかいいと。その言葉を合図にして、左手の薬指の付け根に、何かが絡みつくような幻覚。あぁ、嫌だな。
「……えぇ~何ソレ」
「意外や意外、帝統は信じるそうですよ」
「そうはいってねーだろ」
幻太郎と帝統のふざけた声色はいつも通りなのに、左手指先から体温が奪われていくような感覚は、いつもとは違う。
つーかなんでうんめいのはなしになってんだよ。おや?ちがいましたか?おれがしてたのはうんめいじゃなくてうんのはなしだ。だいたいおなじでしょう?まったくちげーよ。
「なぁ乱数」
名前を呼んで振り返る帝統の馬鹿っぽい顔も、わざとらしくきょとんとした幻太郎の顔も、いつも通りなのに。
「……」
その向こうに、灰色の、いや違う。本当は綺麗な青色をした瞳がみえて、苛立ちを制御できなくなる。
“飴村君”
「ばかじゃないのぉ」
薬指にからまるのは、赤い糸なんかじゃない。
“飴村君”
「そんなもの、あるわけないじゃん」
ホログラムみたい、光に透けて色の変わる長い、長い髪の毛だ。
“飴村君”
「そんなもの、あったら×××だよ」
あぁ、薬指が痛い。
××××××××××××
「飴村君」
目を開けた、つもりだった。けれど視界は暗闇だ。何度か瞬きを繰り返して、自分が覚醒しているのか、そうでないのかを確認する。両目を覆う、多分、レースの布に引っかかるから、自慢の長い睫毛が今は鬱陶しかった。
(ゆめ、か)
意識的に少し深く呼吸をすれば、不愉快なアルコールの匂い。指先に触れるシーツは硬くてごわごわとする。
「飴村君」
(こっちは夢じゃなさそうだな)
起き抜けに聞くのが世界で一番嫌いな人間の声ならば、ずっと夢の中で二人のさえずりを聞いて居たい。そんな気持ちでもう一を目を閉じたら、ウィンと機械音がしてベッドが動く。勝手に持ち上がる上半身に、チッと大きく舌打ちをした。
「ちょっと、何?嫌がらせ?」
「……朝ごはんだよ」
その声の後、かちゃんと微かな音がして、アルコールの匂いを、何かダシのような匂いが覆う。きょうの朝ごはんは和食だよ、聞いてもいないのにそんなことを言う。ギギギと聞こえてきた音は、備え付けの椅子を引きずる音だ。
「いらないって言ってんじゃん」
「そう言うわけにはいかない。今、君は私の“患者”だからね」
世界で一番嫌いな声に、世界で一番言われたくなことをいわれる。衝動で舌を噛みちぎりそうになるのはしかし見とがめられて、長い指に顎を取られればいやでも口が開いた。
「今日は大人しくするように」
ほとんどむりやり流し込まれるのはリュウドウショクとかいうやつで、咀嚼しなくても食道を通っていってしまう。ほとんど液体みたいな何か。味は今日も、はっきりは分からなかった。
「おいしいかな」
もし返事が出来る状態なら、クソまずい、もうやめろと喚き散らして殴り飛ばしていただろう。
「まだわからないのかい?」
返事が出来る、状態ならば、だ。
「……」
テリトリーバトルのことは、正直よく覚えていない。負けられない、負けたくない、勝つためだったらなんだってする、そう思って何かを叫んだことしか覚えていない。
「まったく、自分で自分の五感を殺すなんて」
一番最初に戻ったのは聴覚。大嫌いな声で目覚めたときは、酷い悪夢に泣きたくなった。
「本当に愚かだね」
次に戻ってきたのは嗅覚。嫌悪感しか湧かない病院の匂いが突然肺を満たしたときは、思わずえずいた。
「自分のものだからと言って、身体を粗末に扱っていいわけじゃない」
一方的に説教をきかせながら、無理矢理何かを流し込まれる。味覚は正直、まだあまり戻っていない。
はい、おしまいだよ。他の感覚が鈍いせいか、聴覚と嗅覚は鋭くなったようなのが忌々しい。小さな声でもよく聞き取れた。口元を拭う柔らかい布からは、懐かしい、花みたいな匂いがした。
「それじゃ、アイマスクを変えようか」
突然視覚が戻ったとき、強い光が目を傷めないようにと寂雷はレースの目隠しをボクにあてがった。そんなこと言って、きっとただのジジイの悪趣味だ。何色が良い?と毎日聞くけれど、ボクは返事をしてやらない。
「今日は紫色にしようか」
花の香りを纏っているのが、レースの目隠しなのか、寂雷の長い指なのかは探らない。ほほにサラリと揺れた指先に、びくりと背中が震えてしまう。
優しくされればされるほど、虚しくて虚しくて仕方ない。自分が今、かわいいかわいい“クランケ”のうちの一人になり下がったことを、絶え間なく突きつけられている。
いつだっただろう。この男がこの世の全てを“平等”に愛そうとしていることに気が付いたのは。
その他大勢にカウントされるなんて許せなかった。誰にとっても特別でいなければ気が済まなかった。この世の全てを愛そうとする人間のたった一人になるためには、憎まれるのが早い。そう思ったのが多分、間違いだった。
「はい、できた」
憎悪をできるだけ膨らませるために、嫌い、嫌いと吐くだけ吐いた。内側から響く言葉は、どんどん本当になってくる。
そのせいで苦くなる舌の上を甘いキャンディでごまかして、舌を噛む代わりにそれをかみ砕いた。
負けるわけにはいかなかった。強い言葉を吐くために、強い感情が欲しかった。だから舌の上をたくさん汚したのに、そのせいでボクは逃げだすことさえできなくなった。
「飴村君、口を開けなさい」
口調は気持ち悪いくらいに穏やかなクセに、ボクが言うことを聞くと思っていないから、唇をこじ開けてくる長い指は少し乱暴だ。噛みちぎってやりたいと思うのに、苦くて臭いゴム手袋で喉奥を圧されるからそれもできない。
無理矢理開けられた口に、今日も押し込められるのは、少し前まで気に入って舐めていたロリポップ。
「何味かわかるかい?」
甘いことは分かる。分かるのに、香りや風味がわからない。適当に「ぶろう」とこたえたら、ふぅ、と深いため息が聞こえた。
「正解は、りんごだよ」
あぁ、今日もテストには不合格だ。口に入ったままのキャンディをもう一度舐めると、確かにりんご味のような気もしたし、騙されているような気もした。右手で棒を探り、舌の上でくるくると回してみるけれど、結局よくわからない。いちど口から出してみても、やっぱりただ甘いだけだった。
「それじゃ、私は仕事があるから、飴村君」
呼ぶ声に、さっきの夢がフラッシュバックする。薬指に絡むのは、刺すように煌めく、紫色の長い髪の毛。
「大人しくしているように」
ドアの開く音、鍵のかかる音、寂雷は足音をあまり立てないから、その瞬間に気配は消える。
(痛い)
消えるのに。
(いたい)
左手薬指の付け根に絡むそれは、振りほどこうともがけばもがくほど、きつく食い込んでいく。
「クソ、ジジイ」
本当は知っていた。彼の知らないところで、彼の忌むことを繰り返しながら、彼のことなんて忘れて、気持ち良く、楽しく、シアワセになるのが、一番の復讐になることを。
そうしないと、自由になんてなれないことも。
「もう、ほんと、サイアク」
それなのに、どうして選んでしまったのだろうか。戦うことを。
「嫌い、大嫌い」
どうして忘れられないのだろうか。昔の昔、前世の記憶なんじゃないかって思う程遠いいつか。胸元のタイピンに絡んだ長い髪の毛を、上手にほどくことができなくて、裁ちばさみで刃を入れた、あのときのことを。
‶乱数は信じますか?運命の赤い糸"
「ちがうよ、幻太郎」
紫色の髪の、まだ生きている方はさらりと離れていったのに、胸元で死んだそれはぐちゃぐちゃとお気に入りのリボンに絡んで醜かった。
「運命の糸は赤くないし」
醜い残骸の絡んだリボンを解く長い指からは、甘い匂いがした。ベッドに落ちた髪をつまもうとしたら、その手を取られて薬指を噛まれた。
「そんなもの、あったらじごくだよ」
そうだ、ここは地獄だ。
右手のロリポップを咥えて思い切り歯を立てる。ガリッ乱暴に噛み砕くとき、じわっと染みるように広がる甘さ。
「……あま」
そそのかすのはヘビ。失うのは楽園。本当でも嘘でも、悪趣味なセレクト。
薬指の痺れがじわじわと腕を伝って、全身を支配するような錯覚が怖い。長い髪に結ばれて、操り人形になってしまう?
酷い現実から逃げるには、眠ってしまうほかに方法がないから、何も映さない瞳を瞼にしまう。しかしそのとき目隠しから花の匂いがしたせいで、瞼の裏に紫色がさらりと流れて。
「……サイアク」
逃げ場はどこにも、無いらしかった。 -
これは恋じゃない
まして愛なんて呼べるシロモノじゃない
征服欲か性欲かわからない
どちらにせよやることは変わらないGood night, loser.
二人が姿を消して、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
消毒液の匂いは、ここが病院であることを嫌でも思い出させる。アルコールの清潔さと、何かの腐臭の混ざった臭いを感じたくなくて口でばかり呼吸をしていたせいだろうか、唇が渇いて仕方がない。なのに、上半身を起こして視線で探したコップの中には、何も入っていなかった。
身体を包む白いシーツは清潔で、痛みも随分落ち着いた。それなのに、すう、と深呼吸をするたび、胸が苦しいのは何故なのだろうか。
「調子はどうだい?」
「……ッ」
ふいに聞こえてきたその声は、穏やかで優しい。けれどまだ、まだ慣れなくて怯えてしまう。
紫色の長い髪からは、揺れるたびに花のようなにおいがする。その香りで少しだけ落ち着く気がするのに、すぐに消毒液の匂いに枯らされてしまうから結局不安は据え置き。
すらりとした指が空のコップに伸びて、おおきな薬缶から温かいお茶をそっと注ぐ。差し出されたそれを受け取ると、指先がふわっと温まる。
「いちにぃ、は」
俯いたままの視界の隅で、紫色がゆらゆら揺れて、きっと首を横に振っているのだろう。
「一郎君もニ郎君も、こちらには戻っていませんよ」
もう何度目かの、残念なお知らせ。期待はしていなかったはずなのに、その返事を聞く度に心が沈んでいく。コップの中で揺れるお茶に舌先を浸せば、適温だった。
火傷するくらい熱い方が、それを理由に苛立つこともできるのに。
最後の記憶は敗北。テリトリーを奪われて逃げ込んだのは新宿。最初は三人一緒にいたのに、気が付いたら一郎が姿を消していた。
「取り戻してあげるから」
きっと、その後を追ったのだろう。怪我の治らぬうちに、今度は二郎が姿を消した。
長い間離れることなんてほとんどなかったから、寂しさは早々に慢性化した。低調な気分は時間の経過を正しく認識できないでいるから、二人がいなくなってどのくらいの時間が過ぎたのかがわからない。
「君はここから出てはいけないよ」
「……」
できることなら、今すぐにでも二人を探したい。しかし今ここから外に出れば、いつ誰に何をされるかはわからない。怪我も十分に癒えていないのに無謀なことをすれば、他でもない、誰よりも大切な家族を、兄弟を傷つけることがわかっているから、動けない。
明らかな敗北を経験してしまった今、否定しようとすればするほど、自分は子供だと、被保護者であることを思い知る。
爆音の罵倒、獰猛な視線、威圧する姿勢、こわいおとなの低い声が聞こえてきそうで、思わず耳をふさぐと、花の香りに包まれる。
「大丈夫かい?」
安らぎを覚えながらも、それさえ弱さの証明に思えて、奥歯をかみしめたとき。
「神宮寺先生、失礼します」
病室の扉が開いて、頭を撫でてくれていた手が止まる。
「来客です、アポはないそうですが、横浜から……」
「失礼」
割りこむように聞こえた声に顔を上げたとき、こちらを射抜くその、ガラスみたいな冷たい青さは。
「……あ、」
瞳の色だ。
「小官のことを覚えているだろうか」
爆音の罵倒、獰猛な視線、威圧する姿勢、こわいおとなの低い声。
「……え、あ、どうして」
忘れられたなら、どんなに良かっただろうか。
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「本当に、気持ちが良いくらい馬鹿なガキですね」
声は鋭利に冷たく響き、部屋に満ちたタバコの匂いをかき混ぜる。不本意な仰向けの姿勢、まだ癒えていないわき腹の青い鬱血をぐう、と押されて、あぐ、と情けない声が出た。
手袋を外すとその手はひどく冷たくて、でも、どうしてだろう。無機質な布の肌触りよりは、幾分かマシなような気がするのは。
「あ、やめ、んあぁ」
しかし、自分の喉から出ているとは思えない粘ついた嬌声が思考回路を引きちぎるから、その理由はもう探せなかった。
「自分に何か、できると思っていたんですか」
「ん、あ˝」
体のありえない部分が、ありえない使い方をされて、ありえない感覚を生んでいる。この拷問みたいな時間が始まって、どのくらいの時間が経ったのだろうか。
「負けた相手のアジトに満身創痍で飛び込んで」
せめて自由になる口で罵倒を浴びせかけたいと思うのに、頭が真っ白で何も思いつかない。ばちん、と思い切り腰を打ち付けられれば両目の奥で火の粉が飛んだ。
「無事で済むとでも思っていたのか?」
そんなの俺が聞きたい、と思った。正直に言えば、何も考えていなかった。ただ兄を取り戻したい一心だった。信じて待つとか、他のやり方を考えるとか、そういう能力があればよかったと思った時にはもう遅かった。
「左馬刻にネズミ退治を押し付けられた時は腹が立ったが」
いつの間に、忘れてしまっていたんだろう。この世界には、悪い大人が掃いて捨てるほどいるということ。自分たちが敵に回したのが、その中でも質の悪い奴らだったことを。
もしかしたら、心のどこかで甘えていたのかもしれない。“尊敬する兄がかつて尊敬していた男とその仲間たちが、卑劣な行為をするわけがない”なんて。
「捕まえてみればなかなか、良い声で鳴くワンちゃんだ」
クスリは使っていないはずだが随分良さそうじゃないか、だと?そんなわけあるかと否定したいのに。
「い˝っ……」
喉から漏れるのは嗚咽にも悲鳴にもならないおかしな音ばかりだ。
兄の足跡をたどり、MTCの拠点に足を踏み入れた俺を待っていたのは入間銃兎だった。潔癖そうな手袋の指先で、必要以上に磨かれた眼鏡のブリッジを上げて、見下ろす瞳はあの日と同じ。怪我が十分に癒えていない状態ではロクに抵抗などできる訳もなく、慣れた手つきで拘束されたときも、でも、まさかこんなことになるとは思っていなかった。
いっそ、リンチを受けて瀕死に陥るくらいの方が、現実的な妄想だった。
“流石に、殺人犯にはなりたくないですからね”
何人か殺していそうな凶悪な笑みを浮かべながら、着ていた服は刻まれた。
“ズタズタにするのはプライドの方にしましょうか”
お気に入りのシャツはきっとただの布切れになって、部屋のどこかに落ちているだろう。
「公式戦で負けてなお、噛みつきに来るなんて」
言いながら入間が前かがみになる。下半身を繋げたままだから、男の一部が一層深く沈みこんで下腹部が痛むほど苦しい。
「もっと辱めておけばよかったかな?」
「ひぐっ」
わざとらしすぎて寒気さえしそうな、子どもあやすような甘い声、耳朶から鼓膜に直接流し込まれる振動。
自分を口汚く罵倒するためにあるかのような声帯。頬を撫でる仕草さえ、まるで子供や小動物にするように優しく、優しければ優しいほど屈辱的だ。
「はやく」
それなのに。
「はやく絶望しなさい」
(あ、また)
ときおり瞳の奥の奥に、例えば兄が見せるような慈愛が滲むのを見つけてしまうのは何故だろう。
瞳の色が緑色だから?
自分の中にある“馬鹿”で“ガキ”な、自分の無邪気な部分がまだ、入間銃兎という人間を憎むのを許してくれない。
「望みを手放せば、楽になりますよ」
悪者ぶって痛めつけて、警告する。“悪い大人に近づくな”“戦いの世界に身を置くな”と。自分のしている最低な行為に傷つきながらこの人は俺を犯している。
「あ、あ˝」
本能がそれに気づいてしまうから、どんなにひどいことをされても俺は絶望“できない”のだ。
「ぜつぼ、なんて」
だってお前気がついていないのか?与えられるのは快楽ばかりだ。痛みしかない方がいっそ楽だった。
「してやる、も、んか、アぁッ!」
口ではしきりに俺を傷つけようとするくせに、その手は気持ち悪いくらいに、優しい。こんなヌルい拘束じゃぁ何時間続いたって耐えられてしまう。
「……ックソガキめ」
この甘い拷問が終わった時、俺はどうなっているんだろうか。しかしそんな思考もまた快感に押しつぶされて、ここにはもう二匹のケモノしかいなかった。
===================
固い床についた手のひらとひざが冷たく痛む。まさか自分が、床に額を擦り付けるような姿勢になる日が来ようとは。少しでも気を抜いたら理性が失せて、今自分を見下ろす男に殴りかかってしまいそうだから、出来るだけ脳の動きを止めた。
「……俺のことは、どうしてくれても構わねぇ」
ハァ、とわざとらしいため息の音が聞こえる。顔を見なくても、男がどんな顔をしているかは分かる。この上ない屈辱、恥辱。負けた男につける格好が無いのはもちろんだがしかし、負けを認められない男はもっと情けないのだ。
「だから……」
テリトリーバトルでの敗北のあと、のこのこと池袋に戻れるはずもなく寂雷を頼ったのは正解だったとは思う。しかし分かりやすすぎる逃避先が相手に割れないはずもなく、早々に“お迎え”が来た。
「弟には手を出さないでくれ」
簡単にその条件をのんでくれる相手ではないことは分かっている。でもそれが譲れない一線である限り、こうして頭を下げることも辞さないという覚悟を見せるのは、ひとつのケジメのつけ方だと、思っていた。
「……ハァ」
嗅ぎ慣れていたはずのタバコの煙がどうしてこうも鼻につく。返事のないのに焦れても顔を上げないのは、そういう“作法”の必要な相手だと“知って”いるからだ。
ゆったりとわざとらしい足音の後、視界にブーツの黒い爪先。憧れて買った同じブランドの靴を靴箱の奥にしまい忘れていたことを、どうして今思い出すのだろう。
「ちげぇだろ」
囁くような声のあと、左手のすぐ横に火のついたままの煙草が落ちてくる。
「違ぇだろ一郎ォ」
じっと見つめていた黒い爪先に顎をすくわれて、無理矢理に顔を上げさせられる。
見下ろす瞳は、燻る煙草と同じ赤色に光っている。
「俺がしてぇのは貴様んとこのガキの話じゃねぇ」
その奥に、青い光をたたえているのを知ったのはいつの日だったか。昨日のことだったようにも思えるし、生まれる前から知っていたような気もした。
「コッチの世界で立ちまわってる俺らに」
“さまときくんがのぞんでいるものがわかるかい?”
いつか誰かにそう聞かれたときは、質問の意図すら理解できずに首を傾げたけれど。
「中坊だの高坊だのが勝てないことなんて馬鹿な貴様でもわかるだろうが」
今同じことを聞かれたならば、何も言わずに頷くだろう。
「ガキどもかばいながら撃ったライムで俺が倒せるとでも思ってやがったのか?」
舐められたもんだぜ、と吐き捨てながら身を翻す。黒いブーツが遠のいていく。その声に含まれた“悲しみ”を嗅ぎ分けられるのは、きっと世界で自分だけだと思う。
「本気のお前とやれねぇ勝負に意味なんざねぇんだ」
きっと道を違えたあの日からずっと、“仲間”ではなく“敵”として正面からにらみ合う日を待っていた。
「マイク出せ」
自分も、左馬刻も。
「マイクだせっつってんだこの野郎ォ!」
左馬刻が何かを蹴り飛ばし、ガチャンと大きな音がする。何かの破片が一郎の頬にパチンとぶつかって、それを合図に立ち上がる。
身長は並んだはずなのに、どうしてまだ、自分より大きく見えるのか。
「俺が勝ったらお前、俺のところに来い」
結局殺せなかった憧憬、昇華できなかった劣情、手放せなかった支配欲。
「お前が勝ったら、そうだな」
忘れたふりを続けていれば、本当に忘れられると、思っていたのに。
「このマイクの代わりに、貴様のイチモツに右手添えて」
心にもない、下品な言葉を並べて挑発する。
「扱いて、しゃぶってやるよ」
その舌の赤さは、昔とちっとも変わらなかった。
ブオォォォン
響くのはマイクの起動音ふたつ。後のことなんてもう何も、考えられなかった。 -
一
暑い日だった。海風はじっとりと湿って、夜になっても引かない熱が体に絡んだ。増していく苛立ちを拭うすべもない。
里見義堯は、帰らぬ父を待っていた。当主である義豊に呼ばれて出て行ったまま、帰城の予定はとうに過ぎた。嫌な予感だけでも落ち着かないのに、まとわりつく暑さに首を絞められているような気分だ。
義豊が父の実堯を良く思っていないのは明らかなことだった。自分よりも才能も人望もある人間が下にいて、焦らぬ人間などいないだろう。まして、そんな人物が仇敵と接触していると知ったならば。
だが、義堯は信じたかった。自分の主である義豊がそこまで愚かな人間ではないと。
父はまだ、生きているのだと。
ちっ、と舌打ちをしたその時、俄かに騒がしさが近付いてきた。思わず立ち上がると、向こうから駆け寄って来る家臣は顔面蒼白。その顔に焦りを滲ませていた。
「義堯様!」
その声も悲壮感に満ちている。あぁ、駄目だ、と心のどこかが悲しみの支度を始めるのを感じた。
「実堯様が、実堯様が!」
握りしめた手のひらに爪が食い込む。ひびが入りそうなほど奥歯を噛みしめる。最後に聞いた父の声が頭の奥に響く。
『留守は頼んだよ』
あの時きっと父はこうなることに気が付いていた。自分もそれに気が付いていた。
しかし、だからといって何ができただろうか。行くなとも言えない。城を留守にもできない。自分は城を守りここに居た。それが最善だと信じているし疑ってもいないが、自分がどうにも身動きが取れないでいるうちに父親が殺されたという事実に何も思わないでいられるわけがなかった。
生きて帰って欲しいと願うことくらいは、許してほしかった。
(父上…)
『私の留守中に何かあったら』
頭の中で響くのは、城を出る前の父の言葉だ。今、ようやく、それまで霞がかかっていた、父の見ていたのと同じ景色が見えた気がした。
父が自分の死の向こうに見ていた景色だ。今自分が成し遂げなければならぬことだ。
『彼によろしく伝えておいてくれ』
「ほう、じょう」
口をついて出たその名。先代から二代で随分大きく成長して、今やこの一帯で知らぬものなどいないだろう。
父が今の当主と関わりを持っていたのは知っている。というよりかは、北条の方からこちらに歩み寄りの姿勢を示していた。
北条は勢いよく勢力を広げているから、義豊が邪魔なのは明らかだった。結局、北条に利用される形で父がその命を犠牲にした今、こちらもその力を利用せねばなるまい。
瞬きも忘れていた瞼をそっと閉じる。ぎゅ、と強くつむって、再びかっと開いた目に映る世界は澄み切って見えた。
二
暑い日だった。夜だというのに冷めない空気は、しかし雨の日のように重苦しかった。
北条氏康は珍しく歪んだ父の横顔を眺めていた。さっき入った知らせを聞いてから、怒るような、悔やむような顔をして押し黙っている。
里見義豊を抑えるために、父が里見氏の中で力をつけている里見実堯らに接近しているのは知っていた。しかしだ、父がこんな顔をする理由は分からない。
決して冷徹な男ではないが、父ならこうなることも予想できていたはずだ。当主に隠れて仇敵と通じている人間が殺されることなど、今の時代なら日常茶飯事、むしろこうなることを見越して父が実堯に目を付けたのだとすら、思っていたのだが。
「父上、」
義豊によって実堯が殺されたという知らせを受けてから、顔を歪めたまま微動だにしない父に声を掛ける。知らせを持ってきた者をはじめ、侍る家臣はその指示を待っている。
「父上、いかがなさいますか」
「こちらからは動かぬ」
眉根を寄せたまま、そう呟く声は大きくないのに、そこに居る全ての人間が待ち構えた言葉だからか、良く響く。
「義豊はこの後、上総金谷城を攻めるはず」
自分たちの今後の挙動は、今金谷に残る息子、里見義堯の出方次第だと、父はそう言った。
「戦の準備は怠るな」
しかし、その声は、必ず援助の求めがあることを言外に伝えていた。
渋い顔はそのまま、油断しないようその場にいる家臣たちを一睨みして、話は終わる。部屋を後にする彼らと一緒に立ち上がれないのは、父のその表情が胸につかえるからだ。
「里見実堯というのは」
どんな男でしたか、そう尋ねると父はようやくこちらに顔を向けて、より一層眉間の皺を濃くした。
「お前は見たことがなかったか」
尋ねられて記憶をたどる。見た目はなんとなく思い出せはするが、武功の噂の割に凡庸な容姿で、武人という気がしなかった印象くらいしか残っていない。
「見たことはございます、が」
ふう、と息を吐く音が聞こえてその表情をうかがうと、眉間の皺を僅かに薄くして、苦く微笑んでいた。
「不思議な男だったよ」
その声が優しくて、確かにそうなのだろうと思う。父にこんな複雑な顔をさせる人物が他にいただろうか。
「息子の義堯を知っているか」
「名前だけなら」
里見氏の傍流の息子だということしか知らないが、実堯の息子ならばそれなりに才能はあるのだろう。何せ、父がその動きを待つと言った人物だ。
「父を亡くした今、あれがこれからどんな動きをするか」
そう言う父の瞳が、映していた火の灯りが揺れたせいだろうか、まるで涙をこらえているようにみえた。
「よく、よく見ておけよ」
その声色がなぜか懇願のように聞こえて、深くうなずいてしまう。
一人にしてくれ、という声に部屋を後にするとき、父の声で、今はもう亡い人の名を囁く声が、闇に溶けていくのを聞いた気がしたけれど、気のせいかもしれなかった。
三
「父が死にました」
「あぁ」
盛りを過ぎたとはいえまだ残る暑さがあるのに、そんなもの感じさせない爽やかな笑顔で彼は言った。北条の家督が三代目に移ったことを、知らないはずはないのに。
「北条の当主様が、こんなところまでご苦労なこった」
「奇しくも」
嫌味に挑発されてはくれないらしかった。余裕のある顔が鼻につくのだ、昔から。
「義堯殿と、父を亡くした齢が同じになりました」
その言葉で思い出す、父を亡くした日。戦いの、始まりの日。
思い出さないようにしていた記憶の、その扉をこじ開けられたような気がして、睨み付けた顔は穏やかに微笑んでいた。
「父は貴方を気にかけていましたよ」
「恨んでいた、の間違いじゃないのか」
あの後、北条の力を利用して家督を奪い取って、すぐに背いた。今だって、安房は北条の傘下でもなければ、和睦もない。
それなのに、敵地にいて、まるで本拠にあるかのような余裕がいつだって義堯を苛立たせるのだ。まるでお前など眼中にないとでも言われているようで。
「今、ここで殺されたって、お前に文句は言えないぜ」
膝で距離を詰めて、持っていた扇子を首筋に当てた。もしこれが刃物なら、命だって奪える。
しかし、氏康は抵抗も困惑もなく、扇子を持っている義堯の右手首を掴んだ。その力だけが予想以上に強い。
「でも貴方は私を殺さない」
耳元で聞こえた声が背中を震わせて、引こうとした腕が離れない。
「それに」
睨み付けようと思って合わせた瞳が予想以上に近くて。
「貴方に殺されるなら」
予想以上に熱く燃えていた。
「戦場でなければ」
瞳の奥のじっとりとした炎に、なぜこの身体は甘く痺れるのだろう。
(あの時からだ)
初めて目が合った時、なかなか目を逸らすことができなかった。戦う姿を見た時、その姿に見惚れてしまいそうになった。戦う彼の瞳を見つめた時、自分がこれから何のために、誰のために戦うのかも忘れそうになった。
気を抜けば、すぐに奪われ失くしてしまいそうだった。父の遺した里見の名も、矜持も、対等な関係も。
だから選んだのだ、抵抗を。
腕を思いきり振り払えば今までの拘束が嘘のように離れた。
姿勢を正して距離を取ると、今度は向こうから近づいてくる。後退るのが悔しくてそのままの姿勢を保てば、鼻先が触れる距離に相手の顔がある。
「これから、宜しくお願いしますね」
「やなこった」
もし自分たちに、北条の当主だとか、里見の当主だとかそういう立場がなかったらどうなるのだろう。
考えるのも忌々しくて、目を閉じる。
なのに、瞼の裏、初めてその姿をこの瞳に映した時の感覚を未だ忘れることもできないで。
手を取り合うような未来など、ないというのに。 -
あの日もちょうど、こんな冷たい風の吹く日で、弱くなった肌に触れた手のひらがひどく暖かく感じた。
乱暴なのに眼差しが優しくて、拒むことができなかった。
***
稽古に遊びに疲れたのか、おやつの後、隣で午睡を始めた息子の寝顔を覗き込む。なにもなくても息子は可愛いが、永らく離れていた上に、その命さえ危うい時があった今、隣で眠るその姿は何よりも愛おしく感じる。
いろいろな経験をしてきたせいか大人びた顔をする息子も、寝顔は年相応で思わず微笑んだ。風邪をひかないように自分の上着を息子にかけるついでに自分も横になる。
抱きしめた体は随分大きくなったけれど、それでもまだ官兵衛の体にすっぽり収まるから、抱きしめれば暖かい。
自分もこのまま寝てしまおうかと丸まった小さな背中をぽんぽんとたたいていると、ん、とまだ小さな頭を官兵衛の胸に擦り付ける。
「ちち、うえ」
そのすがるような声色は、愛おしいだけのはずだった。なのに、寝ぼけて掠れた声が耳に届くのと、自分の胸に収まる頭が目の前にあって、つむじが覗くその光景に、既視感がある。官兵衛の頭の中に、もやもやとあまり思い出したくない、思い出してはいけない記憶がよみがえりそうになる。
(だめだ、思い出すな)
ふるふると首を横にふって、息子の頭を撫でる。その自分の動作さえ何かを彷彿とさせるから。
(このまま眠ってしまおう)
そう思って、目を閉じようとしたその時だ。
「ちちうえ」
もう一度そう息子が寝言を言った時、頭を胸に擦り付けた時、ついに思い出してしまった。
(あぁ)
今と同じような体勢で、息子とは似ても似つかない自分よりも大きな男をその胸に抱きしめた日のことを。
(どうして)
似ても似つかぬ声で、自分の名を呼ぶのを。
(今更)
眠っていながら決して離さないとでもいうかのように、絡みつく逞しい腕を。
勝手に脳が反芻しはじめるたびに、体温や声が思いだされてたまらない。自分を抱くときの態度は強引なくせに、指先と眼差しだけは随分優しくて困惑した。
支配しようとするくせに、官兵衛が拒むたびに目の奥に浮かぶのは安堵だった。その安堵に不満を覚える自分に気が付いて、絶望したのももう過去の事なのに。
(これでよかったんだ、これで)
終わりはあっけなく、別れの言葉も交わさぬまま離れたあと、こんなに簡単なことだったのかと呆然とした。
それともあの男は気が付いていたのかもしれない、そういえば、あの形のいい頭を抱きしめたのは、寝言で名前を呼ばれたのは、最後に抱かれた夜だったか。
これ以上思い出したらどうにかなってしまいそうで、息子をぎゅっと抱きしめて目を閉じる。腕の中の体温は優しくて、あの時とは何もかも違うのだ。
同じだったのは、すがるような声だけだったのだ、きっと。
(忘れることもできないで、これではまだ、とらわれたままだ)
心を牢の中に置いてきたような気持ちは消えないで、腕の中の体温に連れられて意識が遠く離れていく。それでもまだあの声は消えない。
『おれのものになれ、官兵衛』